香川県の牟礼町と庵治町にまたがる霊峰、五剣山のふもとに庵治石の故郷はあります。五剣山は山全体が花崗岩の層からなり、庵治石が産出される50箇所ほどの”丁場”は一般の人が立ち入ることができない神聖な場所とされています。また、今でも最高品質の原石が大量に眠っている”大丁場”は、庵治石を安定供給できる世界唯一の場所です。
庵治石の歴史は古く平安時代にまで遡ります。安土・桃山時代には京都の石清水八幡宮の再興に用いられたという古文書が残されているほか、江戸時代には高松城築城や大阪城の大改築にも使用されました。
緻密で小さな結晶が特徴で、磨くと石の表面に二重のかすり模様が浮き出てきて幻想的な奥行きを見ることができます。「花崗岩のダイヤモンド」「天下の銘石」などと呼ばれ、世界的な人気を誇ります。
細粒黒雲母花崗岩 | |
庵治石に関する最古の記録(京都男山の石清水八幡宮の「建武回録記」)は1336年(室町時代)だが、平安時代後期には寺院建築に使用されたと想定される。 | |
松平頼重、伏見桃山陵、手塚治虫など | |
首相官邸庭園、屋島東照宮、広島平和記念公園の原爆慰霊碑、道後温泉の皇族専用風呂である「又新殿(ゆうしんでん)」など | |
水晶と同じ7度という硬度で、細かな細工が可能。水を含みにくいため、風化や変質に強く、400年は彫られた字が崩れたり、変色したり、艶がなくなったりしないと言われている。 最大の特徴は「斑(ふ)」または「モク」と呼ばれる現象で、よく研磨した石表面に黒雲母が特に緻密に入り、まだらな地模様に濃淡が出ることで、世界中の石材の中でも類がない。 |